ChatGPTを開いた。でも、そこから「何を渡せばいいか」「どこまで説明すればいいか」「どんな形で返してもらうか」を考え始める。AIで仕事を短くしたいのに、毎回その準備から始まることがあります。
問題は、長いプロンプトを知らないこととは限りません。仕事そのものが、まだAIへ渡せる単位に整理されていないことがあります。
ChatGPTを開いてから、仕事の説明を考えている
顧客への返信、会議メモの整理、見積もり比較、資料要約、商談練習。同じChatGPTを使っても、必要な材料と「完成」の意味はすべて違います。
そこで、いきなり文章の言い回しを作るのではなく、先に仕事の骨組みを決めます。Toybird Labsでは、この作業用の短い仕様をAI Work Briefと呼びます。正式な業界標準ではなく、AIへ仕事を渡す前に何を決めるかを整理するための考え方です。
AI Work Brief:プロンプトより先に決める6項目
| 項目 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 作業 | AIに何をしてほしいか | 顧客への初動返信を作る |
| 目的・読み手 | 誰が何のために使うか | 顧客が次の連絡時刻を理解できる |
| 元資料 | 事実として使ってよい材料 | 受信メール、社内確認メモ |
| 条件 | 変えてはいけない事実や禁止事項 | 復旧時刻を約束しない |
| 未確定事項 | 分からないまま残すもの | 原因、復旧予定 |
| 出力 | 次の仕事へ進める完成形 | 送信前の返信案 |
「丁寧に」「分かりやすく」は最後に調整できます。先に必要なのは、AIが勝手に埋めてはいけない空欄と、仕事が終わったと判断できる形です。
今日の仕事を10の入口から選ぶ
| やりたい仕事 | 主な元資料 | 欲しい成果 | Briefで先に固定すること |
|---|---|---|---|
| 1. 顧客へ返信する | 受信メール、確認済み事実 | 送信前の返信案 | 約束できること/未確定 |
| 2. 取引先の依頼を断る | 依頼、対応範囲、代替案 | 条件が明確な断りメール | 断る範囲/許可された代替案 |
| 3. 会議メモを整理する | 発言・決定のメモ | 担当・期限・未決を分けた表 | 抽出する項目/根拠 |
| 4. 資料を要約する | 原資料、読み手 | 判断に使えるメモ | 何を決めるための要約か |
| 5. 候補を比較する | 見積もり、必須条件 | 同じ条件の比較表 | 比較単位/未確認値 |
| 6. 依頼内容を固める | 分かっていること、困りごと | 着手前の確認質問 | 質問の優先順位/止める条件 |
| 7. 商談を練習する | 相手役、商談段階、目標 | 会話と振り返り | 役割/練習終了条件 |
| 8. 相手に合わせて説明する | 正しい原文、読み手の前提 | 理解しやすい説明 | 変えてはいけない意味 |
| 9. 手順書の初稿を作る | 実操作メモ、例外 | 再現できる手順 | 試していない操作を足さない |
| 10. 調査メモを整理する | 資料、出典、確認日 | 事実と解釈を分けたメモ | 根拠/最新性/推測の扱い |
AI活用を増やすとき、用途ごとに「魔法の文言」を覚える必要はありません。仕事が変われば、Briefの中身を変えます。
短いBriefの完成形
作業: 顧客への初動返信を作る
目的・読み手: 顧客が現在の状況と次の連絡時刻を理解できる
元資料: 顧客メール、社内確認メモ
条件: 原因や復旧時刻を推測しない
未確定事項: 原因、復旧予定
出力: そのまま確認できる返信メール案
元資料にない事実は追加しない。
重要な不足情報は、確定事項と分けて示す。
これは完成した「万能プロンプト」ではありません。仕事の境界を人が決めたBriefです。必要なら、このBriefを自然な依頼文へ変えてからAIへ渡します。
同じ元資料でも、目的が変わればBriefが変わる
8行の会議メモを例にすると、「To-Doを作る」と「顧客向けのフォローアップメールを書く」では、使う元資料が同じでも完成形が違います。前者は担当・期限・未決を正確に分けることが中心で、後者は社外へ伝えてよい情報だけを選ぶ必要があります。
元資料を使い回しても、Briefは仕事ごとに作り直します。これが「同じプロンプトを何にでも使う」方法との違いです。
AIに任せない部分もBriefへ残す
AIが文章を整えても、顧客への約束、価格、法的判断、機密情報の扱いまで自動で決めてよいとは限りません。未確定事項を空欄として残す、社内で承認された条件だけを使う、といった境界もBriefの一部です。
便利さと事実確認は分けます。読みやすい回答になっていても、原資料にない日付や条件が入っていないか、人が確認します。
期待と違ったら、Briefのどこが違うかを見る
| 起きたこと | 直すBrief | 修正例 |
|---|---|---|
| 文章が長すぎる | 出力 | 結論と次の行動を残し、背景は3文まで |
| 未確認の期限を確定した | 未確定事項・条件 | 期限は未確認。確定事項へ移さない |
| 社内事情が顧客向け文面に出た | 目的・読み手・条件 | 社外へ伝えてよい情報だけを使う |
| 比較表の単位が揃わない | 作業・条件 | 30名で同じサービスを購入した総額へ換算 |
回答全体を作り直す前に、どの欄が曖昧だったかを見ると、次の依頼にも使える条件が残ります。
Prompt ReadyでBrief作成を短くする
毎回6項目を白紙から整理すること自体が負担なら、その準備を助ける方法が必要になります。Prompt Readyは、仕事内容や目的から必要な条件を整理し、普段使うAIへ渡す依頼文を作るためのツールです。
Prompt Readyが回答そのものを代わりに決めるのではなく、AIへ仕事を渡す前のBrief作成を短くする位置づけです。
参考情報
- OpenAI: Prompt engineering best practices for ChatGPT
- Toybird Labs: Prompt Readyの使い方