3社の見積もりを並べたのに、一番安い提案が分からない。そんなときは、計算する前に比較の単位を揃える必要があります。
1回あたりの料金、全体の料金、1人あたりの料金を、そのまま同じ列へ置かないこと。もう一つは、見積もりに書かれていない機能を「なし」と判断しないことです。
ここでは、30名向けの社内研修を選ぶ架空ケースを使います。価格や条件は比較方法を説明するための教材で、実在のサービスの相場や推奨ではありません。比較表は編集上の作例で、AIの実測出力ではありません。
比較の対象は「見積書の金額」ではなく「必要な研修を実施する総額」
今回の条件は、対象者30名、総予算45万円、10月20日までに研修を終えることです。研修後30日間、受講者が質問できることも必須とします。金額はすべて税別で比較します。
| 見積書 | 提示された内容 |
|---|---|
| A社 | 1回18万円、1回の定員10名。30名なら同内容を3回実施。30日間の質問対応を含む。期限内に3回実施できる。追加費用なし。 |
| B社 | 30名一式42万円。30日間の質問対応を含む。期限内の実施が確定。追加費用なし。 |
| C社 | 1名9,000円、初期設定6万円。30名での受講に対応。質問対応の期間と、実施できる日は記載なし。その他の追加費用はない。 |
「A社は18万円だから最安」と結論すると、定員を見落としています。「C社は質問対応なし」と書くのも、見積書に書かれていないことを確定した判断です。
必須条件と、好みの条件を分けてから依頼する
必須条件は、満たさなければ採用できない条件です。「できれば安い」「資料が見やすい」などの好みと一緒に平均点へ混ぜません。
以下の研修提案を、社内の選定会議に使える形へ整理してください。
必要条件:
・対象者30名
・総額45万円以内(全額を税別で比較)
・10月20日までに研修を完了
・研修後30日間、受講者が質問できる
上の見積書3件を材料にしてください。
まず、30名分の総額を計算し、計算式を残してください。
次に、各必須条件を「満たす・満たさない・未確認」で表示してください。
記載されていない条件は「なし」や0点にせず、「未確認」にしてください。
最後に、現時点で採用を判断できる候補と、判断前に追加確認が必要な候補を分けてください。
最も安い金額だけを理由に結論を出さないでください。
比較する対象によっては、年間契約と月払い、必須オプション、利用者数の違いも総額へ反映します。ただし、入力資料にない価格をAIが補ってよいという意味ではありません。
比較表の完成例:未確認の候補は、落とさず保留にする
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 30名分の計算 | 18万円×3回 | 一式42万円 | 9,000円×30名+6万円 |
| 総額 | 54万円 | 42万円 | 33万円 |
| 45万円以内 | 満たさない | 満たす | 満たす |
| 10月20日までに完了 | 満たす | 満たす | 未確認 |
| 30日間の質問対応 | 満たす | 満たす | 未確認 |
| 現時点の扱い | 今回の予算では採用不可 | 必須条件を満たすと判断できる | 期限と質問対応を確認するまで保留 |
現時点では、B社だけがすべての必須条件を満たすと確認できます。ただし、C社が悪いサービスだと分かったわけではありません。条件が確認できれば、C社も予算内の候補になります。
ここで必要なのは「B社が一番優秀」という評価ではなく、今回の条件で、どこまで判断できるかという整理です。
C社へ送る質問は、比較表の空欄から作る
「詳しい資料をください」では、同じような資料がもう一度届くかもしれません。判断を止めている2点を、そのまま質問にします。
30名での研修を検討しています。10月20日までの実施は可能でしょうか。また、受講後30日間、受講者からの質問に対応いただけるかを確認させてください。可能な場合は、見積もり済みの33万円に含まれるかもお知らせください。
このメールも編集上の作例です。回答が来たら、比較表の「未確認」を更新します。結論だけを先に変えるのではなく、根拠となる条件を先に変える順序にします。
重みを変える場合も、必須条件は勝手に緩めない
AIに「価格を最優先で再評価」と伝えたとき、期限やサポートの条件まで無視されては困ります。再評価するなら、変更する条件と固定する条件を別々に示します。
30名、完了期限、30日間の質問対応は必須のまま維持します。
C社がこれらを満たすと確認できた場合に限り、総額を最優先で再比較してください。
現在の未確認情報を、確認済みとして扱わないでください。
A社の実施回数が変わる、C社に追加費用が発生するなど、新しい条件が出たら、元の計算も更新します。比較表は一度作って終わりではなく、条件と出典を対応させて更新する資料です。
数字より先に、結論を説明できるかを確認する
送る前に確認するのは、総額の計算、単位、定員、期限、未確認項目の扱いです。5段階評価を使う場合も、「なぜ4点なのか」を資料から説明できなければ、点数を置かない方が判断に役立つことがあります。
実案件では、各行に見積書名・確認日・参照箇所を付けます。今回のA社・B社・C社は架空の教材なので、実案件の価格を埋める代わりにはなりません。
比較の条件を変えながら使う人へ
比較のたびに、人数、期限、必須条件、何を未確認として扱うかを書き直す。その準備を繰り返す場面が、Prompt Readyの使いどころです。
用途と背景情報を整理して依頼文を作り、コピー前に「条件未確認を0点にしない」「必須条件を勝手に変えない」が含まれているかを確認します。作成した依頼文は、自分で選んだAIへ貼り付けて使います。返ってきた比較表の金額と条件を見積書に照合し、採用判断は担当者が行います。
比較を始める材料そのものが足りない場合は、AIに確認質問を作らせる方法へ進んでください。
参考情報
- OpenAI: Prompt engineering best practices for ChatGPT
- Toybird Labs: Prompt Readyの使い方