生成AI・仕事効率化

ChatGPTに先に質問してもらう|曖昧な仕事の依頼を、着手できる条件へ変える

引き継ぎ資料の作成を例に、AIへ先に確認質問をさせる方法を解説。最大3問で条件を整理し、未定事項を残したまま初稿へ進めます。

「引き継ぎ資料を作りたい」「業務を改善したい」。やりたい方向は決まっていても、何をAIへ伝えればよいか分からないことがあります。

そんなときは、完成した文章を先に出してもらうより、作業の範囲を決める質問を使います。ただし「質問してください」だけでは、細かな文体まで聞かれ、いつまでも作業が始まらないこともあります。

ここでは、新任担当者向けの引き継ぎ資料を作る架空ケースで、質問する順序と、質問を止めて下書きへ進む条件を決めます。以下の対話は説明用に作成した例で、実測ログではありません。

すでに伝えたことを、もう一度聞かせない

最初に渡す材料は次のとおりです。

来月から問い合わせ窓口を担当する新任者1名向けに、引き継ぎ資料を作りたいです。
引き継ぎ期間は2週間。新任者は製品の基礎研修を終えています。
問い合わせへの返信手順はありますが、どの案件を上司へ相談するかが担当者ごとに違います。

この時点で、「何人向けですか」「研修は終わっていますか」は確認済みです。先に聞くべきなのは、資料の見た目ではなく、どの場面で使える資料にするかです。

大事な質問を3つまでに絞る

上の依頼について、まだ資料を書き始めないでください。
完成物の内容を大きく変える不足情報を、重要な順に一つずつ質問してください。
質問は合計3つまでにしてください。

・すでに入力した内容は聞き直さない
・文体や色など、後で決められることは後回しにする
・各質問に、なぜ今必要かを短く添える
・答えにくい場合は選択肢を示し、自由回答もできるようにする
・私が「未定」と答えたら、既定値を事実として埋めない

3つの回答後、確定事項、未定事項、現時点で作れる下書きの範囲を示してください。

最大3つという数は、どんな仕事にも最適な規則ではありません。この例では、初稿の範囲を決めるために、質問を増やしすぎない上限として使っています。

質問が変わると、完成物も変わる

順番 質問例 このケースの回答例
1 新任者が資料を使うのは、対応前の準備、対応中の判断、対応後の報告のどれが中心ですか。 対応中、上司へ相談すべきか迷ったとき。
2 社内で承認済みの相談基準はありますか。基準がなければ、完成版の判断表にはできません。 個人情報に関する依頼と補償の相談は上司へ回す。それ以外は未整備。
3 初稿を確認し、基準の追加を承認する人は誰ですか。 窓口の責任者。来週の打ち合わせで確認する。

1つ目の答えから、作るべきものは長い研修資料ではなく、対応中に参照する短い判断表だと分かります。2つ目から、未整備の基準をAIが決めてはいけないことが分かります。

「未定」があっても、作業を全部止める必要はない

3問の回答後に作れるのは、次のような初稿です。

状況 承認済みの扱い まだ確認すること
個人情報に関する依頼 上司へ相談する。 連絡方法、緊急時の連絡先。
補償に関する相談 上司へ相談する。 承認者が不在のときの扱い。
その他の判断に迷う問い合わせ 基準未整備。正式な判断表として確定しない。 責任者と、対象となる場面を整理する。

これは架空の組織が示した基準をまとめた教材です。ほかの会社でも同じ基準が適切だと推奨するものではありません。

未定事項があっても、承認済みの内容と、責任者に相談する項目は整理できます。「埋まらないので完成できない」と「埋まっていないのに完成版にする」の間に、確認用の初稿があります。

質問を続ける場合と、仮案へ進む場合を分ける

今回、相談基準がまったく分からなければ、正式な判断表は作れません。一方、表の見出しや並び順が未定なら、編集上の仮案として提案できます。

確認済みの事実は、そのまま使ってください。
社内の承認や判断基準に関わる未定事項は、確認待ちとして残してください。
見出しや並び順は、編集上の提案と明記したうえで仮案を作ってください。

事実と、編集上の提案を分けることがポイントです。AIから提案された「補償金額の上限」などを、元からあった社内規則として扱ってはいけません。

質問が多すぎる、同じことを聞かれるときの直し方

一度伝えた人数をまた聞かれたら、「人数は最初の入力にある1名で確定です。これを確定事項へ移し、残る質問だけを続けてください」と修正します。

重要でない文体の質問が続くなら、「文章のトーンは後で決めます。今は資料の利用場面と判断基準だけ確認してください」と範囲を戻します。質問に答えること自体が目的にならないようにします。

曖昧な依頼を、普段のAIへ渡せる形にする

Prompt Readyの役割は、ユーザーの代わりに社内基準を決めることではありません。用途、背景、欲しい出力を整理し、生成AIへ渡す依頼文を作ることです。

今回のように材料が不十分なら、最初から完成版を要求せず、「承認済みの条件と未定事項を分ける」「先に最大3問だけ確認する」という条件を背景情報へ含めます。生成された依頼文にその意図が残っているかを見てからコピーします。

曖昧な依頼をPrompt Readyで整理する

条件が揃った後で文章や資料をどう頼むかは、仕事で使う10の活用例で選べます。


参考情報